病院の経理・アウトソーシングに関するコラム

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病院に特化した会計事務所(税理士)の選び方と品質

基礎知識 2022.12.21

医療特化の会計事務所は多いですが、その多くの会計事務所は診療所(クリニック)の特化型です。
クリニックと病院では求める相談内容と期待する役割も大きく異なる為、契約前に以下について確認をされることをお勧めいたします。

医療業に強い会計事務所(税理士)を選ぶポイント

病院の専門特化、経験、実績

クリニックの場合は、院長のライフプランや職員の労務相談が傾向としては多いですが、病院の場合は診療報酬や病棟構成の見直し、建替え、賃金制度、病院機能評価への対応等、相談内容が多岐にわたる事が特徴です。最近、病院の税務で相談の多いテーマとしては、出資持分についてです。具体的には、認定医療法人の活用の考え方や申請支援、特定医療法人や社会医療法人成りへの支援についてです。税務ではありませんが、地域医療構想を実現する為のスキームとして注目されている、地域医療連携推進法人の活用や設立の相談の問い合わせもいただきます。

どの内容もテーマも実績と経験が大きく影響する内容です。その為、全て一人で対応する事は難しい為、グループ内外でのコンサルタントや専門家と連携を行っているかがポイントです。また、病院勤務経験者の在籍の有無は現場感のある回答にもつながる為、会計事務所の選び方と品質のポイントにもなります。

表現を変えると、病院のお客様もあるという程度では、期待を上回る満足を得る事は難しいと言えます。

参考までに、弊社は社会医療法人の設立支援を行い税務顧問や経理のアウトソーシング支援を行っているお客様が6件、地域医療連携推進法人の設立支援や税務顧問のお客様が2件、認定医療法人の申請支援も行っています。もちろん、弊社は病院のアウトソーシングや病院の税務顧問がメインの業務である事から医療法人のお客さんは北海道から沖縄まで地域に関係なく数多くのご支援を行っています。

また、税務・財務以外にも病院の建替えや病棟機能の見直し、コスト削減、病棟別損益の作成支援等、連携しているコンサルタントと一緒に幅広くご支援を行っています。

社会医療法人成り、特定医療法人成りに詳しいか

社会医療法人は本来業務が非課税である事から、社会医療法人成りを目指す病院から年に数件の問い合わせをいただきます。救急医療確保事業の要件をクリアする事ができるかが一番のポイントです。具体的には救急、小児、周産期、へき地、災害の内、1つ以上の要件がクリアする必要があります。社会医療法人の要件を維持し続ける為に、要件を2つ以上クリアしていれば経営上のリスクが大幅に低減させることができる為、法人内の複数の病院で要件をクリアする、または1つの病院で複数の要件をクリアする事を目指される事が多くあります。

社会医療法人成り後のリスクは、人口減少や外部環境・内部環境の変化により、救急医療確保事業で求められている件数を維持する事が困難になる可能性もあり、その場合は社会医療法人の取消しとなり遡り課税が発生する可能性がある事です。

特定医療法人成りは国税庁が現地調査を行い、特別の利益供与の有無について徹底的に会計帳簿や各種規程、給与台帳等の書類を過去3か年分の確認を行います。

最近の傾向としては、一度で承認を得る事は難しくなっていますが、指摘をいただいた内容を真摯に改善と整備を行えば5年以内には承認を得る事が出来る事が多いと思われます。

一番のポイントは役員やMS法人との取引の見直しと医師を含めた給与規定の整備と考えられます。

MS法人の設立に詳しいか

MS法人は消費税の概念がなかった時代に多く設立がされましたが、消費税率が10%までに高まった昨今では、MS法人を解散する事が実務的には多くなっています。
その理由の一つとして、MS法人との取引を行う事で、本来発生しなかった消費税が発生する事で節税メリットの減少と管理コストが増加する為です。
また、認定医療法人・特定医療法人・社会医療法人では特別の利益供与が禁止されている事もあり、MS法人を介した取引きは原則は難しくなっています。

税務調査

病院の税務調査は法人税・消費税・所得税・印紙税と幅広く行われ、調査官も複数名で調査日数も3日~5日程度実地される事も決して珍しくはありません。

当たり前ですが、税務調査が入ってから資料を見返しても遅い為、日々の経営判断や税務判断のアドバイスを会計事務所から提供を得る事ができるかが会計事務所の選定のポイントにもなります。

例えば、売上や補助金の計上漏れの有無は税務調査では必ず確認が行われます。医事課から提出された資料が計上漏れがないかを確認する事が会計事務所の大きな役割です。しかし、医事課から提出された資料を検証や確認もせずに仕訳入力し、決算書に反映している会計事務所が驚くほど多いのが実態と思われます。

その為、病院に特化した会計事務所であるかどうかは、病院の医事業務を理解した上、質問力と確認力の有無で判断ができます。

融資に関する相談

病院は地域のインフラである事から、融資相談は地銀をメインに行う方が寄り添った対応をしていただける事例が多いように思われます。
一方で金融機関からは、病院は理事長とお会いする事も難しく専門性が高い業界である事から、敷居が高いとの声をよく耳にします。その為、我々は病院で用いている言葉を分かりやすく金融機関に説明し、病院側には金融機関が求める財務的な目線や考え方を分かりやすく説明する役割を担う事で融資相談と融資実務の支援を行っています。

弊社スタッフは、金融機関から依頼をいただき再生業務を数多く経験している事から、金融機関が求めている財務的な基準や考え方も熟知しています。

病院に詳しい税理士の料金の相場

病院の税務顧問の料金相場

会計事務所の役割に応じて、料金相場が大きく異なります。
具体的には、試算表が正しく作成されているかどうかの確認をする事をメインにしている会計事務所は比較的料金が低い傾向にあります。一方で、業績報告と経営相談、コンサルを行えるスキルを持った会計事務所の場合は、比較的料金は高い傾向にあります。会計事務所に期待する役割に応じて会計事務所を選択するという事が健全な考え方と思われます。金額が高く思えても、情報の鮮度と質がよく、適切なタイミングでエビデンスに基づいた財務報告と過去の結果報告ではなく未来に向けた相談ができる会計事務所の方が結果的にはパフォーマンスが良く、満足感が高く適切な料金と考えられている医療機関が多くあります。

記帳代行と経理アウトソーシングの料金相場

記帳代行は一般的には仕訳件数と定款に記載されている事業数が料金体系の基本となり、料金設定が行われている事が多いように思われます。
また、経理のアウトソーシングはアウトソーシングする内容に応じて細かく料金設定が行われている事が多い為、経理スタッフの状況等に応じて依頼業務の選定を検討をすれば、料金の不安は解消される事がほとんどです。

記帳代行も経理アウトソーシングも最初に漏れやエラーがでない仕組みを導入できるかが料金以上に重要なポイントです。それは、病院の病棟機能や診療科の違い、各部門の役割を理解している事が大前提でであり、医事課と財務・経理部門・人事部との役割の確認と業務フローを確認する過程で、必要な業務や仕組みを追加し、不要な業務を除き・取りやめる事ができるかが料金の確認以上に重要なポイントです。

料金だけで会計事務所やアウトソーシング会社を比較検討すると、後で後悔する可能性もある為、慎重に検討を行う事をお勧め致します。

まとめ

会計事務所や税理士、アウトソーシング会社も医師と同じで専門領域があります。

具体的には、医療業界の専門特化型であってもクリニックの専門領域と病院の専門領域は大きく異なる為、上記で記載した内容を参考にして、事前に掘下げて確認する事をお勧め致します。

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