病院の経理・アウトソーシングに関するコラム

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地域医療連携推進法人の設立とよくある質問

基礎知識 2023.08.24

地域医療連携推進法人について、弊社が設立支援を行ったお客様を通じて問い合わせが増えてきたため、主だった相談や質問を中心にとりまとめを致しました。

地域医療連携推進法人について

地域医療連携推進法人は各都道府県の医療審議会の承認を得て、設立認可される法人です。

具体的には、一般社団法人を設立をする段階から各都道府県と相談を重ね、地域医療連携推進法人の設立を進めていきます。

厚労省が医療法改正で地域医療連携推進法人を施行したのは令和2年4月です。

その目的は、地域医療構想を実現する為です。

地域医療構想を実現する為には、その地域の医療機関、特に病院の理事長・院長がお互いの医療機能の役割の違いや特徴を理解した上で、その地域で必要なあるいは過剰な医療機能を調整する事が求められています。

そこで、地域医療連携推進法人という組織を作る事で、お互いが腹を割って話し合える場を作る事が、大きな第一歩となっています。弊社もオブザーバーとして、理事会に出席をする事もありますが、今までトップ同士が話し合う事が無かったという事実を改めて認識し、連携推進法人を組成する事の意義を再認識しています。

同じ目的を達成する為に連携推進法人という組織を作り、話し合いができるテーブルを作る事で、疑心暗鬼になることなくお互いが役割調整を行う事で、病棟機能の見直しや病床異動、マンパワーの調整、共同研修、共同購買を機能させることができます。

地域の課題はそれぞれの地域で全く異なる為、二次医療圏を一つの単位として組成する事ができます。ただし、地域によっては二次医療圏を超えて参加法人にする事も可能です。具体的には、患者の流れが実態的に二次医療圏を超えた動きがある場合です。

また、二次医療圏に一つしか連携推進法人を作れないという事ではありません。地域医療構想を実現する為には、異なるアプローチや目的によって医療構想を実現する事がある為です。さらに言えば、複数の連携推進法人に参加する事も可能です。

厚労省のホームページにおいて、2023年7月時点で公表している地域医療連携推進法人の件数は、2023年4月1日時点として34法人です。

(厚労省の該当URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177753.html

地域医療連携推進法人について相談や質問の多い内容

①地域医療連携推進法人の設立に向けて、参加依頼の打診があしましたが、買収されるのではないか不安です。どのような仕組みなのでしょうか。

⇒ 地域医療連携推進法人は、厚労省が地域医療構想を実現する為に、従来の枠組みでは出来なかったことを実現しやすくする為に法整備を行いました。お互いの医療機関の独立性を保ちながら、それぞれの医療機関の役割を発揮できます。

合併や事業譲渡となると、ハードルが高く病床異動等も進みづらいですが、地域医療連携推進法人内であれば、合法的に病床異動が可能となります。ただし、各都道府県の所轄部署への相談や、調整会議等のステップを経て行う事となります。

地域医療連携推進法人に参加すると、知らない間に買収されてしまったという事はありえませんので、ご安心下さい。

②地域医療連携推進法人に参加している病院同士であれば、一般病棟と療養病棟を病院間で交換できると聞きましたが、本当なのでしょうか。

⇒ 一般病棟と療養病棟を病院間で交換する事は可能です。病棟機能を集約化する事で専門性が高まり、結果的に病床稼働率が高まり地域で求められている医療機能が高まると考えられます。

③地域医療連携推進法人に参加している病院で病床の融通ができると聞きました。病棟の稼働率から考えて、同じ病棟機能のまま他の病院に融通したいのですが、可能でしょうか。

⇒ 例えば、一般病棟を一般病棟として、または、医療療養病棟を医療療養病棟として、病床を融通する事は可能です。

④地域医療連携推進法人に参加している病院で病床の融通ができると聞きましたが、精神科病棟を療養病棟に変更することは出来るでしょうか。

⇒ 精神科病棟は法律区分が異なる為、変更は難しいです。最終的には各都道府県の病床の過不足を考慮した判断になります。

⑤大学からの医局派遣医師が有難い事に多く来てもらっています。ただ、入院に繋がっていない事や、近隣の病院で医師不足の病院がある為、地域医療連携推進法人を用いて調整ができればと考えていますが、いかがでしょうか。

⇒ 派遣元の大学が地域医療連携推進法人に参加していれば、より現実的に派遣医師の調整が可能になる可能性も高まると考えられます。

⑥地域医療連携推進法人に参加すると、患者や利用者の流れができると耳にしましたが、参加した方が良いのでしょうか。

⇒ 参加法人どうしで患者や利用者の入退院情報を公開し、密接に情報交換を行っている事例は多くあります。お互いに医療の質を高める為の努力や工夫を行い、求められている医療や介護の内容を理解する事で、患者や利用者の流れが強くなることは必然の結果とも考えられます。

⑦会費はいくらぐらい徴収すべきでしょうか。

⇒ 運営事務費として、最低限必要な費用として、税理士に依頼する税務申告の費用と監査法人または公認会計士の会計監査の費用が必要です。上記を賄う事ができる会費徴収がミニマムな費用と考えられます。ただし、会計監査の費用が高額であるとの意見が多く寄せられている為、次の医療法改正で会計監査の要件が見直されると言われています。

⑧地域医療連携推進法人で職員を採用する必要はあるでしょうか。

⇒ 必ずしも職員採用が必要という訳ではありません。中心的な参加法人が地域医療連携推進法人の事務局を兼ねている事が多い為です。一方で、事業が軌道に乗っている地域医療連携推進法人は職員を採用しているケースもあります。

⑨地域医療連携推進法人の参加法人間で医師や看護師の人の異動ができると聞きましたが、可能でしょうか。

⇒ 地域医療連携推進法人を大きな一つの法人とみなし、参加病院が一つの事業や部署としての位置づけである為、医師や看護師の人の異動が可能という考え方です。

それぞれの地域で検討されている内容や懸念点は異なる為、具体的な内容については個別でご説明や勉強会を無償にて開催させていただいています。お問い合わせを通じてご連絡をお願い致します。

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