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経理担当が突然退職・・・退職リスクと解決法を解説!

基礎知識 2022.12.21

経理担当者の突然の退職や休職で、支払業務等をどのように回したらよいかと肝を冷やされたり、悩まれたご経験はあると思います。事前に不測の事態が発生する前に理解していれば落ち着いた対応も可能になります。

こちらの記事では退職リスクと解決法を解説します。

経理担当が退職する理由

人間関係

退職理由で最も多いのは、職場内の人間関係によるものと言われています。
上司との関係性、同僚との関係性、関連部門との関係性や板挟み等とその要因は多岐に渡ります。

上司が経理や財務に明るくない場合、指示が抽象的であったり締め切りの期限が無理な場合が多い事が考えられます。具体的には、毎月の試算表や財務報告資料や決算の完成期限がそもそも無理な設定であるにも関わらず、経理スタッフがそれに応えようと努力を続けますがいつしか体調を崩してしまい、それが引き金となり退職につながるケースも見受けられます。

実務をしているスタッフと上司が日ごろからコミュニケーションをとり、上司が理解を示してくれれば、ボトルネックになっている要因を取り除いてくれますが、上司が部下に無関心の場合は実務担当者が疲弊する負のスパイラルに陥ってきます。

業務量の多さ

経理スタッフの特性として「ギリギリまで頑張る」があげられます。業績が良く経理スタッフが充足していた時代であれば良かったのですが、昨今は医療介護業界の利益率は低下し、労働人口も減少している事からスタッフの補充も進まず、少ない人員で従来のやりかたを踏襲しているだけでは業務が回らなくなる事も容易に想像できます。

経理や財務部門は非生産性部門ではありますが、新しい仕組みを導入する事で業務改善が大幅に進むこともたくさんあります。また、業務フローをシンプルに見直す事で、多額の設備投資を伴わずに業務効率を上げる事も数多くあります。

スキルアップ(転職)

上昇志向が強い方は次の新たなチャレンジやステージを常に求めています。例えば、月次決算の早期化、事業予算の作成、中期計画の作成、新たな事業展開の予算策定、病棟別損益の導入、建替えプロジェクトメンバー等、毎年テーマを持って取組みをされています。

一方で、組織として新たな展開や個人のステップアップが見込めない場合は、スキルアップのために新たなステージを求めて転職をされるケースがあります。
上昇志向の強い方には、法改正の整備に向けた準備やRPAのシナリオ作成等、中長期的な目標を常に上司はすり合わせをしながら、高いモチベーションを維持してもらう工夫が必要です。

評価、昇格

今まで取り組めていなかった課題やテーマを達成した際には、面談を通じて労いの言葉と適切な評価や昇格も必要です。病院ではどうしてもバックオフィススタッフよりも医療スタッフに重点をおきますが、バックオフィススタッフに対する評価を適切に行う事も強い組織運営を行う為には欠かすことができません。評価をしてもらえず、昇給昇格が進まない事が退職の要因になっているケースもあります。

業績悪化

経理・財務部門のスタッフは自法人の財務状況や資金繰りが分かる為、業績悪化が続いているとこのまま働いていて大丈夫なのだろうかと誰よりも敏感に感じ取ります。また、役員が職員への還元を考えずに私的な費用を混同している場合も、職員のモチベーションが低下し退職理由につながっているケースも耳にします。

退職された場合のリスク

後任の採用が間に合わない

経理スタッフが突然、休職や退職した場合は給与の支払いと取引先への支払い業務が最も懸念される内容です。複数で支払業務を行っている場合は、不慣れな点があったとしても支払いを実行する事ができますが、一人に経理業務を任せている場合は様々なリスクが考えられます。

求人を出してもイメージ通りの方との出会いは難しく、後任の採用が間に合わないケースが多いいですし、運良く採用ができたとしても採用したばかりのスタッフに経理業務を全て任せるのは躊躇いとリスクがあると考えられます。

急いで採用する場合は何かを妥協するケースが多く、それを飲み込んで採用する場合は、将来的なリスクを抱える可能性も考えられます。

新任の業務把握までの時間

新たに経理スタッフを採用できない場合は、上司が一時的に業務を引き継ぐケースが多いですが実務を行っていない上司が引継ぎを受けたとしても、勘所が分からない為経理業務が不安定な状態が続き、経理業務そのものが崩れます。

一度崩れた経理業務をもとの状態に戻すことは時間がかかり、新任の経理スタッフが着任できたとしても病院の経理業務の特殊性に慣れるのにも時間を要し、採用したスタッフに負荷がかかり、数か月で退職するという負の連鎖が始まる事も考えられます。

属人化、引継ぎが困難

経理スタッフの勤続年数が長ければ長いほど、その仕事は属人化し引継ぎが困難な事例を目の当たりにします。勤続年数が長いスタッフによくある事例は旧態依然とした業務スタイルであることが多く、目的が不明瞭な内容や過去からの慣習で業務を行っているケースが多い為、引継ぎを受けても意味を理解する事ができないケースが多くあります。

退職リスクの解決法

担当社員を分散させておく

一般的に退職リスクをヘッジする方法は経理業務に限らずですが、管理部門として複数人対応を行う事です。バックオフィスのスタッフは経理・人事・総務をお互いに兼務をする、または定期的に部門ローテーションをしてお互いの業務を理解しカバーしあえる事がベストです。

ただ、専門性の高い仕事を兼務するまたはローテーションさせる為には、職員に素養がなければイメージとは異なる結果になる可能性も十分にあり得る為、注意が必要です。

経理業務のマニュアルを構築しておく

次にマニュアル化をする事もリスクヘッジの方法の一つです。ただし、マニュアル化は言うは易し行うは難しです。基本的な業務内容を理解した上で、参考程度にマニュアルで確認するというレベルであればマニュアルは活きてきます。

また、一年に一度はマニュアルの見直しを行わなければ実態と異なる内容になっているケースがあります。人員数に余裕がある病院は少ない為、マニュアルの更新に手が回らない事がほとんどだと思われますが、少なくとも一度は整理が必要な内容です。

経理代行サービスを活用する

経理スタッフの休職と退職に最も効率的な対策と解決法は経理アウトソーシング(経理代行サービス)です。病院専業の経理アウトソーシング会社であれば、病院特有の医事課との対応を含めて経理スタッフから引継ぎを受けなくても業務を滞りなく行う事は可能な事が多いです。

もちろん、引継ぎを受けたが方が細部の関連性を把握する事ができますが、多くの場合は業務フローそのものを見直し、仕組みそのものを見直す為、必要最低限のポイントの確認さえできれば業務に支障なくスタートをする事ができます。

まとめ

長年、金庫番として経理業務を守ってきていただいた方が退職する場合は、業務が属人化している事が多い為、アウトソーシングする事が最も効果的な引継ぎの一つと考えられます。

緊急対応として、経理をアウトソーシングして経理業務をシンプルに再構築をした上で、経理業務を内製化する事も一つの方法と考えられます。

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