病院の経理DXの取組みステップ その2
電子帳簿保存法が後押しをするペーパレス化への対応
インボイスと電子帳簿保存法の施行により、紙の請求書からデジタル請求書の普及に弾みがついたことは間違いありません。
さらに2024年10月から郵便料金の値上げでこの流れは、さらに加速する事は間違いありません。
デジタル請求書はメールに請求書のPDFの添付方法とメール通知からダウンロード方式の
2つの方法があります。
いずれの場合でもデジタル情報を活用する事で、大幅に業務効率が進む点です。しかし、デジタル情報を活用せずに従来のように請求書の金額を手入力していては、結果的に「人の問題」から解放される事がありません。
ここでいう「人の問題」とは、残業時間や業務量をマンパワーでカバーする為の給与、スタッフの退職に伴う採用コスト、そして、労務トラブルです。
インボイスと電子帳簿保存法の施行により、従来よりも経理業務の投下時間は間違いなく増えている為、環境変化に対応する仕組みを導入し業務そのものを変化させ対応する事が求められています。
医事課が紙レセからレセコンにほとんどの病院が置き換わっている事から考えても、時代の変化に対応する事は議論の余地なく必然です。
ただし、現時点では時代の変化の過渡期であるため、その変化対応に気づかずにいる病院が非常に多い事が残念でなりません。
また、病院の経理業務が変化に対応できていない大きな理由の一つとして、会計事務所が変化対応に鈍感である事が多いと言われています。
その理由として、病院の新規開設が原則できない為、結果的に病院設立時から契約している顧問税理士が高齢化している事やお付き合いが長くても会計事務所が病院の経理業務をほとんど理解していない等の理由があり、会計事務所が会計ソフトの変化に目をむけていない、または対応できていない事が理由と考えられます。また、組織的に展開している大規模な会計事務所も、会計ソフトの変更は様々な観点から多大なパワーが必要な為、結果的に変化対応が鈍くなっている為と考えられる為です。
会計事務所は税計算をする事が本来業務であり、病院の経理業務の見直しを期待してもソフトの紹介だけで抜本的な業務フローの見直しを期待する事がそもそもの間違いなのです。
なぜならば会計事務所は経理業務の実務を行っていない為です。弊社では病院の経理代行を行っている為、実務を現場レベルで理解している点が大きな違いです。
話しを戻しますと、デジタル請求書であれば債務支払いソフトのAI-OCRを用いて、取引先名、請求金額、消費税率、インボイス番号、口座情報、支払期日等を自動読み取りできる為、仕訳計上と金融機関への支払い登録時の入力が大幅に削減されます。
また、紙の請求書では開封作業、ファイリング、保管という間接的な時間が意外と多く取られていますが、デジタル請求書はそれらの手間が発生しません。特に、デジタル請求書であればデータの検索性が極めて優れている為、決算時や税務調査時にも請求書を探す労力も大幅に削減することが出来ます。
ただ、デジタル請求書に変化する過渡期である現時点では、紙とデジタル請求書が混在している為、それぞれの対応が必要であるため、時間がかかります。従来から紙の請求書に慣れ親しんでいる為、デジタル請求書に移行する為には目的を明確にした取り組み姿勢が必要になります。
AI-OCRを用いたクラウド型の債務管理のソフトを用いていれば、デジタル請求書の比率が60%以上になれば、効率化の実感が持てるようになります。
積極的にデジタル請求書への移行を取引先に促す事で、この比率は確実に上がる為、デジタル請求書への移行を促す書面を発行し、一定期間後は直接、電話で連絡をする等のステップは必要です。今が一番忙しさのピークであると考えて、移行案内を短期間で積極的に行う事がポイントです。弊社のお客様の中にはデジタル請求書への移行率が95%を達成していますので、医療業界だから移行率が上がらないという事ではなく、目的を明確にした徹底度合いであると理解が必要だと考えます。