スタッフが産休・育休の取得時には、経理業務のアウトソーシングの活用を
経理スタッフから産休の相談を受けた際に、おめでとうの言葉の後に、業務の組立てに頭を悩まされる事務長が多いと思います。以下の4パターンが主な比較検討内容になると考えられます。
①増員せずに現状のスタッフで業務を割振る
②派遣会社への委託
③正職員の募集
④アウトソーシング会社への委託
それぞれのパターンについてコメントを記載致します。
①増員せずに現状スタッフで業務を割振る
昨今では働き方改革や残業管理の厳格化により、この検討は少なくなっています。
また、業務の割振りが可能なだけの余裕をもったスタッフを配置されている病院は業績の関係から少なくなっている事もあると考えられます。
ただ、管理職が一時的にカバーするケースはもちろんありますが、1年半近くカバーを継続する事は現実的に難しいと考えられます。
②派遣会社への委託
選択肢として多いケースですが、結果的に、業務が安定する事は意外と少ないのが実態です。昨今の派遣スタッフは昔のように専門性の高い方が登録されているケースが少なく、スキルエラーがそもそも発生しうる可能性のある方が派遣されているケースが見受けられる為です。それは、経理人材が世の中に不足している事が背景にあります。
スキルエラーの状態で業務を行い、我慢をして誰かがカバーをし続ける状態では、職場の雰囲気も崩れていきます。また、理解が不十分なまま業務引継ぎが行われる為、ミスも多く発生し、いつしか運用ルールも変わり、税務調査で大きな指摘に発展するケースもしばしば見受けられます。責任の所在があいまいな為です。
③正職員の募集
経理の正社員の募集をかけても応募そのものがない場合や、応募があったとしても年齢やイメージしているスキルと異なる事が多いように思われます。 また、業務に慣れてきた頃には育休から復帰するタイミングという事もあり、マンパワーがだぶつきます。または、配置転換する場合も、せっかく身につけた経理業務の経験値が活かされない場合が多く、いずれの場合も結果的に病院の利益を圧迫する要因になります。
④アウトソーシング会社への委託
弊社のように病院を専業としている経理のアウトソーシング会社であれば、業務開始時に事前確認すべきヒアリングシートが準備されている為、質を担保することが出来ています。また、業務フローで課題と思われる内容や無駄と思われる業務内容は提言を行い、シンプルな業務フローに組替えを行う為、アウトソーシング会社への委託は現状踏襲型ではなく、業務改善を含めた業務の再構築型です。その為、派遣会社への委託とは効果が全く異なりますが、派遣会社よりもコストを抑えられるケースも多くあるように思われます。
ただし、病院を専業としていなければノウハウの蓄積が無い為、業務改善の提案が入らないばかりでなく、スムーズな業務遂行もままならず、上記の効果が弱い可能性もある事に留意が必要です。
また、弊社のように税理士法人が行っていれば、消費税を含めた内容の確認と整理を行なう事ができますが、税理士法人以外のアウトソーシング会社は消費税等の税金に関する理解が弱い事がある為、留意が必要です。
産休・育休の一年半から二年の期間を業務委託期間と定める事で、アウトソーシング会社も計画的に業務の組立てを行うことが出来る為、質の高い業務提供が可能となります。
一方で、産休・育休とは異なり、療養による休職の場合は委託する期間がはっきりしない事と委託期間が短い為、アウトソーシング会社の受託が難しいケースがある事に留意が必要です。
まとめ
病院が予め行っていればスムーズに進む事として、働くスタッフが産休・育休・介護休暇をいつでも取得できる環境を整えておく事です。 すなわち、スタッフの急な休職の相談があっても困らない体制を整える為にも、クラウド会計を軸とした経理業務の再構築を行っていれば、経理業務のアウトソーシングをいつでも活用する事が可能となります