設備投資時のリースの活用の考え方
病院や介護事業所から設備投資を行う際に、リースの活用の是非について相談をいただく事がしばしばあります。今回はリース会社の代表取締役と対談を行った際の抜粋を記載致します。
どういうケースの場合に、リースを活用するメリットがあるか
クライアントから相談が多い内容として、設備投資をする際に
①預金を取り崩して購入するのが良いか
②借入をして購入をするのが良いか
③リースを活用するのが良いか
という相談をいただきます。 この内容をリース会社の社長との対談時にぶつけると、以下のようなシンプルな回答をいただきました。
一定のサイクルで更新が必要な設備はリースの活用を検討して欲しいとの事でした。説明を補足すると、技術革新により設備更新を行う事による経済的なメリットが大きい場合はリースを組むことでメリットが大きくなるとのことでした。具体的には、建物に埋め込み式の空調機器は耐用年数で考えると15年ですが、一定期間が経過すると技術革新が進み新し空調機器に更新することで電気代がかなり安くなるケースが多い事から、リースが向いているとの事でした。上記の場合は、更新時に同額のリース料で電気代が安くなるケースが多い為、コストパフォーマンスが良くなる代表的な事例との事でした。
一方でリースを活用するメリットが少ないケースは、技術革新が少なく長期間使い続けることが予想される設備との事でした。
蛇足として、ソフトウェアのような形のない資産でもリースを設定することが可能な為、クライアントから相談があればその点も説明をして欲しいとのことでした。
リース料の設定の考え方
ある事務長からリース会社と交渉をしてリース料が安くなったと、喜んでおられた事務長の話しをすると、将来的なコストを盛り込まなければリース料が安くなるケースもあるとの事でした。すなわち、リース物品の撤去費用を削ればリース料は安くなる可能性はあるけれども、リプレイスするタイミングで撤去費用が発生する為、次の世代にコストを転嫁しただけの場合もあるようです。
また、これからの時代は金利上昇局面の為、長期間のリースはリース料の設定が難しくなるとの事でした。具体的には、金融機関は変動金利で将来の金利上昇リスクをヘッジできますが、リース会社は現時点で将来の金利上昇リスクを反映させた定額のリース料の設定となるため、長期リースの場合はリース料の設定が難しい時代になるとのことでした。
社会医療法人のリースの考え方
弊社のクライアントは社会医療法人が多い為、社会医療法人からの相談の場合は、以下の説明を行っています。
社会医療法人の認定病院の場合は、償却資産税が非課税の為、リース以外の購入方法で検討していただく事を推奨しています。
ただし、社会医療法人の場合でも認定施設以外で使用する設備投資の場合は、一般の医療法人と同様の考え方となります。
終わりに
医療機関は設備更新が多い業種であるため、計画的に設備投資を行う事が財務戦略からも不可欠です。しかし、病院ではリース一覧表を作成されているケースが少ないこともあり、検討時間が少なく場当たり的な対応も見受けられます。弊社にアウトソーシングを依頼していただいているクライアントにはリース一覧表を可能な限り作成し、新事業年度の予算作成時に設備投資案を検討する際の一助となるように努めています。