管理部門のトップから病院の財務・経理担当者へのメッセージ
複数の社会医療法人の常務理事、局長、事務長との対談時に、財務・経理担当者に対して、こうあって欲しいという願いを聞かせていただきました。この対談の目的は、財務・経理担当者がより活躍できるステージが広がっている事をこのメッセージを通じて広く届け、意識と役割の変化につながるきっかけになって欲しいとのことからです。
現状に埋没しない
ともすれば、財務や経理の仕事は過去の結果をとりまとめる仕事になってしまいます。部署に配属された3年目まではそれでも良いかもしれないですが、それ以上の経験年数になれば法人の全体像を把握できている為、現状に埋没しない仕事の組み立てが求められます。また、病院では財務や経理で長く務めることで仕事を極めるよりも、それ以上に部署異動により経理・財務部門以外の仕事を行う事もキャリアステップにおいては重要です。財務や経理がわかり、人事や医事業務の理解が深まれば、将来の幹部候補としてのキャリアステップにつながる為です。
現場に足を運ぶ
机に向かって仕事をする時間を減らし、病棟やオペ場、介護の現場に自ら足を運び、宿日直業務も行い医療・介護のスタッフの実態を把握することこそが、財務・経理スタッフに求められるスキル。
現場を知るからこそ数値が活きてくる
現場を知るからこそ、請求書の内容や売上の数値の変化に敏感になり、試算表や決算書の数値を見ると現場の状況が目に浮かぶように理解ができる。それが業績報告にもつながり、現場の苦労を加味した温かみがあり、寄り添える言葉を添えた報告につながる。また、現場を知るからこそ、改善すべき結果を数値で示し改善案を考えることが可能になる。現場に足を運び、現場の顔が見える関係になり、現場を理解するから結果的に情報が集まる。この積み重ねが大きな違いになり、組織にとっても大きな推進力につながる。
財務から未来を描く力
足元の結果を数値でつかみ、現場の状況を数値に置き換え、未来からの逆算で今必要な考えをまとめ、現場の声から必要とされる医療介護の役割と行うべき医療介護の未来を描くことが財務や経理スタッフの本来の役割。数値は組織の共通言語であり、感情論で方向付けになる事がないようにする事も大切な役割。
経理や財務の仕事は法改正やデジタル化社会が追い風となり、仕事の組み立て方や考え方を180度転換できる大きなチャンス。一方で、経理人材の不足が顕著であることから、コア業務以外はアウトソーシングを活用する等、専門家であるパートナーの選び方も重要になる。ともに汗をかき、社外経理部として実務と役割を担ってくれる専門家がベストパートナー。具体的には、これからの時代は経理人材も不足する為、スタッフが退職した際は一時的に会計事務所が社外経理部としてカバーできる会計事務所を選択すべき。いつでも会計事務所が実務をフォローできる仕組み(経理業務のアウトソーシングが可能な仕組み)に見直すことで、震災や感染症等の不測の事態の際にも、取引先への支払業務が機能不全に陥ることなく、どのような状態でも業務を安定させることにつながる。