病院の経理・アウトソーシングに関するコラム

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経理スタッフの退職の申し出後の仕事の組み立て方

基礎知識 2025.03.31

病院では1月から3月は経理スタッフの退職が多い時期です。冬の賞与、年末年始の休暇、事業年度末である3月末の節目、3月決算でバタバタする前に等、気持ちの変化が起こりやすいタイミングで退職をする方が多いように思われます。もちろん、それぞれのライフサイクルによる環境の変化が背景にあると思われます。

昔であれば退職希望日をできるだけ引き延ばす事が事務長の力量と言われていた時代もありますが、今は表現の仕方や本人の受け取り方によってハラスメント事案にもなりかねない為、日ごろからのコミュニケーションの大切さが一層求められますし、引き留めは実質的に難しいと考えておくべきです。

退職の申し出があった場合、そのスタッフの業務を財務・経理部門内で引継ぎが可能かどうか、引継ぎが難しい場合は他部署からの人事異動を含めて調整が可能かどうかを早急に確認と検討することから対応を始めます。 軸になるスタッフが財務・経理部内にいる場合は、一時的に業務負担が増えますが部内引継ぎをしていただく事が第一ステップ。優先度合いが高い業務と後ろ倒しが可能な業務とを区分しながら、引継ぎ業務をスタートさせることで仕事の全体イメージをつかむことが優先です。

第二ステップは人員の欠員を新たな人員で補う考えではなく、仕組みで解決する考え方の検討です。仕組みでカバーする際には、システム利用料等が新たに費用発生する事は当然の事です。すなわち、給与からシステム利用料に経費内容が転換する考えです。スタッフが減員になるタイミングは業務を見直すための最大のチャンスの為、このタイミングを逃さないように事前検討が重要です。ただ、スタッフの退職を想定して事前に検討している病院は数少ないため、専門家に相談していただく事で短期的に方向付けが可能です。その身近な専門家は顧問の会計事務所です。ただし、経理DX化に力を入れている会計事務所は決して多くない事とシステム(アプリやソフト)を紹介されるだけで抜本的な見直しにつながらないケースが多いように見受けられます。肝心なことは、業務のあり方をどのように見直し、その為にどのようなシステム(アプリやソフト)を導入することが病院にとってベストなのかを近視眼的な考え方ではなく、中長期的な視野に立って検討する事です。もちろん、総コストを下げることが大前提です。

第三ステップはシステムの導入の際に一時的に増加する業務を派遣スタッフで解消するか、一部業務をアウトソーシング会社に依頼するこについての検討です。

派遣スタッフの活用を検討する場合の絶対条件の一つとして、院内に派遣スタッフに仕事の指示と派遣スタッフが行なった業務の確認を具体的に行うことが出来る人がいる事です。軸となるスタッフがいない場合は、派遣スタッフの採用は良い結果につながらないことがほとんどです。業務を前に進めていく為の手段として手軽に派遣スタッフの活用を選択されることも多いですが、業務指示と確認が出来る人が不在の場合は、結果的に業務が崩れます。

アウトソーシング会社の部分的な業務委託の活用として、有効に機能する代表例は受取請求書の「銀行への支払登録」と「買掛金・未払金の計上仕訳」と「消込仕訳」の業務です。業務範囲が明確である為、業務の隙間を作らずに行う事ができます。ただし、前提としてはクラウドの債務支払いソフトを用いる事とあわせて、会計ソフトに買掛金・未払金の計上と消込仕訳が連動することで、最も効果的な活用となります。

また、軸となる経理スタッフが退職により欠員となる場合は、新たに採用するのではなくアウトソーシング会社に全面的に経理業務を委託することが最も有効な手段と考えられます。昨今では経理業務を全面委託することは決して珍しいケースではなくなっています。医事業務になぞらえるとイメージがわくと思います。経理業務は院内で行わなくても業務が行なえる環境が整っている為です。具体的には人口減少を見越した政府の施策として、電子帳簿保存法やインボイスが施行し、経理業務を取り巻く環境が大きく様変わりをしている為です。

変化のタイミングをチャンスに転換する為には、従来の業務の行い方、業務の進め方、業務の組み立て方にとらわれているとチャンスに転換することは極めて困難なだけでなく、人の採用と定着、スタッフのスキルの問題が繰り返し続きます。

事務長が検討すべきことは、人の採用が今後は容易にできない事を前提に、また、病院の利益が増えることがなく減少することを前提に、管理部門の構造をシンプルに見直すことです。

医療・介護を取り巻く環境を考えると、医療・介護の現場に対しては迅速に補充する必要があります。質や生産性が問われるためです。とはいえ、現場にも院内定数や一人当たりの生産性を意識した配置人員を定めていく必要があります。

管理部門をないがしろにするのではなく、管理部門は現場を支える為の工夫を絶えず考え抜き実践している事が現場にも伝わるようにする必要があります。現場に協力を求める以上、管理部門の変化はより分かりやすく行う必要がある為です。

経理スタッフの退職の申し出は近視眼的にはピンチですが、管理部門のあり方を考えるタイミングととらえて、前向きに様々な可能性について検討をいただければと思います。

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