
経理の質を落とさずにコスト削減!病院で進む「賢い外注」の実態
はじめに
病院の60%から70%が赤字と言われる昨今、管理部門の人員をスリム化しコストパフォーマンスを向上させる事が喫緊のテーマとなっています。注目を集め始めている、社外経理部として「賢く外注」する為のアウトソーシング会社のレベルの違いについて、記載を致します。
経理・財務部門と人事部のアウトソーシングのトレンド
病院が医療現場のマンパワーや医療機器等の設備投資に重点配分を行い、医療や介護の質を担保する事は当然の事です。そして、理想は優秀な管理部門が病院経営をリードする為に、マンパワーの充足をはかりスタッフを鍛え上げていく事です。しかし、時間的にも金銭的にも、病院の体力が削ぎ落されているのが実態です。
デフレ環境下における病院経営から、インフレ環境と人口減少化下における病院経営の時代となり、管理部門のスタッフを育成型で採用することが難しい時代に変化し始めました。一方で、病院の経理経験のあるスタッフの採用も困難です。その為、アウトソーシング化の流れは必要です。
これから管理部門でアウトソーシングが可能な部門は経理部門と人事部門です。経理部門は社外経理部として、仕組みを整えてアウトソーシングする事で効率が良く費用もコストパフォーマンスを得やすいと言われています。しかし、経理業務のアウトソーシングにはレベルの違いが明確にある事に留意して、病院の経営状態や人員の状況に応じて賢く外注を選択する時代です。
余談ですが、人事部の業務は大別すると、給与計算と労務手続きに整理ができます。最近のトレンドは、給与計算はクラウドの給与計算ソフトを用いる事で給与計算と様式9の自動作成が可能である事からも、給与計算のアウトソーシングよりもコストパフォーマンスが優れている事が多いようです。その為、人事部門は労務手続きのみを行うアウトソーシングが、コスパが高いとの考えが広がっています。

経理業務のレベルの違いについて
病院は先に述べたように、経理業務を手際よく行い、前向きに働いてくれるスタッフ以外を抱え続ける事が難しい時代に移り変わってきています。時間をかけて教え育てるのではなく、質の高い業務を外注化により手に入れ、社外経理部として内製化と同じようにマネジメントする時代に変化し始めています。
ポイントは、単なる経理業務を外注化する事だけではなく、事務長と社内にいるかのごとくいつでもコミュニケーションがとれ、認識のずれなく二人三脚の参謀役としての役割に昇華させることが出来るかどうかです。
病院や介護業界の理解や業界特有の経理に関する知見とノウハウと、病院の税務調査の経験が豊富である事は当然の事、画一的な経理業務のみならず、会議資料の準備や会議での業績報告、改善の方向性についても言及可能なアウトソーシング会社とお付き合いすることが「賢い外注」といえます。具体的には、経理業務のアウトソーシング会社のレベルは以下の段階があります。
レベル1 | 業界を絞らずに記帳代行を行っているレベルの為、ただ提出された資料のみで試算表を作成する為、経営実態を反映できていない試算表の作成 |
レベル2 | クリニックの記帳代行を行ったことがある(このレベルでは病院経営に役立つ試算表には程遠い) |
レベル3 | 病院や介護事業の業界特有の商慣行を理解しているからこそ、病院から提示がなかった資料についても、アウトソーシング会社から病院に資料の督促を行い、適切な試算表を作成することが出来る |
レベル4 | 記帳代行業務に留まらず、取引業者の支払いや納税手続きまで行う、病院の社外経理部として経理代行業務を行う事が出来る |
レベル5 | 経理代行業務に留まらず、理事長や事務長の求めている内容を適切に理解し、会議資料の作成や業務改善の提案を行うことが出来る |
おわりに
従来の固定観念のように経理スタッフを採用し時間をかけて育成する時代ではなく、いかにして質の高いアウトソーシング会社とパフォーマンス良く付き合う事ができるかに時代が変化していきます。
経理業務の質や採用に頭を悩ますのではなく、トータルコストの削減を確実に行い管理部門を安定化させ、病院の経営発展に資する事が事務長の役割です。
当院の状況に応じてご提案を行いますので、お気軽にお問い合わせからのご連絡をお待ち致しております。