病院の経理・アウトソーシングに関するコラム

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病院の経理アウトソーシング

病院の経理アウトソーシングとは?メリット・デメリットを分かりやすく解説

アウトソーシング 2025.07.24

弊社のホームページからのお問い合わせで、経理業務の外部委託や経理業務の一部をアウトソーシングの検討をしたい為、弊社の業務内容や見積もりが欲しい旨の連絡を事務長や常務理事からいただきます。今回は、病院の経理を外部に任せる事の意味や効果を通じて、メリット・デメリットを記載致します。

経理を外注化する意味

病院の経理業務をアウトソーシングする意味は、経理スタッフの突然の退職や業務の不安定さと採用と定着の人の悩みから解放される点です。一時的な経理人材の不足を補うケースもあれば、慢性的な人材不足に対応しなければならないケース等、タイミングや地域によっても状況が大きく異なります。ただ、日本全国の傾向として、経理人材が不足している為、大企業ですら経理業務のアウトソーシング化を進めている時代であるという理解と認識が必要です。すなわち、イメージする経理人材との出会いが少ない事を前提に人の採用と育成が必要になります。労働者人口が減少する中、根気強く採用と育成を行うコストと時間をかける事が継続的に難しいと考えられる場合は、早いタイミングで外注化の検討を進める事が結果的にパフォーマンスの良い取り組みと考える事も出来ます。

特に病院の経理は特殊性が高いため、経理経験者でもなかなか病院の商習慣や病院の組織体制や組織風土を理解し慣れるまで時間がかかります。商習慣や組織風土に慣れる前に退職をされる方が多い事も病院の経理の特殊性の一つと言えます。

かといって、一時避難的に派遣スタッフで対応しようとしても、その特殊性を理解して経理業務を遂行することは難しいため、根本解決には至らないことがほとんどです。

経理スタッフの採用が難しい理由の一つとして、応募者のスキルを推し量る事の難しさです。その理由は、経理業務のフローは一つとして同じ型がない為、想定する業務内容と業務スキルが病院ごとに異なっている為です。その根本的な要因は会計ソフトや医事や人事で使用しているシステムや組み合わせが異なる事に起因しています。採用するスタッフのスキルと想定していたスキルのギャップが大きければ、実務ではミスマッチとなり離職を繰り返す要因となるケースや、スキル不足の為に発生する業務進捗の遅さを補填するスタッフの増員でコストアップとなっているケースを散見致します。管理部門の人員増に伴うコストアップは利益率の低下に直結する為、病院経営に大きな影響を及ぼし続ける事になります。

また、頼みの綱である顧問税理士もクリニックであれば経理業務のアウトソーシングも可能なケースもありますが、病院となると売上規模や複数の事業を展開している事も多いため、手に負えない会計事務所がほとんどです。会計事務所は出来上がった帳簿を確認し、税計算を行う事が仕事であり、経理実務を担える会計事務所はほぼ皆無です。それだけ、病院の経理は特殊性と専門性が高く、代替手段が少ない事から、結果的に我慢しながら経理を院内で行っているケースが多いように思われます。

事務長が経理業務の経験者であれば、経理部門や経理スタッフのフォローをする事も可能ですがそうでないケースが多いのが実態です。また、過去に経理業務を経験していたとしても、久しぶりに経理業務をすると適切に業務を行う事は極めて難しく、抜けや漏れがどうしても発生します。

専門家に外注化する事で人員の不安定さとコスト増を封じ込める事が可能なうえ、コストを据え置きながら、経理業務の質を引き上げることが可能となり、業績把握を早いタイミングで行うことができます。病院専業のアウトソーシング会社は効率的な経理業務の仕組みとノウハウを有している為、コストパフォーマンスが院内で経理を行うよりも高くなります。社外経理部として活用する病院が増加している理由です。

病院専業のアウトソーシング


病院の経理業務について

病院の経理業務の内容を列記します。小口現金の精算、通帳の残高を確認して資金移動、期日までの納税手続き、取引会社からの請求書を確認し支払いサイトや振込手数料を確認して支払い手続きと会計ソフトへの仕訳の計上、給与の振込手続きと仕訳の計上、医事課からの資料に基づき売上の計上、日々の窓口日報と現金が一致しているか確認し仕訳の計上等、多種多様な業務を日々、並行して行っています。

病院の経理業務の難しさは、病院の機能が急性期、ケアミックス、慢性期、精神科と様々ですし、病床規模による違いもあります。また、診療科の違いによっても経理業務で着眼すべきポイントが異なります。例えば、整形外科がメインの病院であれば交通事故等の自賠責の比率が高く、保険会社への請求と入金管理の理解が必要です。また、人工骨頭等の高額な診療材料も多く含まれており、資産計上をすべき内容と経費処理をすべき内容との判断も必要です。また、介護系事業を展開していれば、口座振替による入金管理の仕組みの理解が必要です。

さらに、急性期病院では医事課から提出された売上資料について、請求保留や再請求等が含まれた金額かどうかを適切に確認しなければ、売上や利益の認識が大きく異なるケースがしばしばです。医事は専門性の高い業務の為、経理とのコミュニケーションが十分に行われていないケースも散見され、売上計上に課題を抱える病院が多くある理由と言われています。

医事と経理とのコミュニケーション

病院の経理を外注化する効果とメリット

病院の経理業務の外部委託を専門に行っていれば、上記内容は当然理解しておくべき内容です。また、経理業務のフローを確認する過程で、業務改善のポイントや仕組みの見直し提案が行なわれることが外部委託する効果の一つです。

ただし、ベンダーを同行させてベンダー会社の製品のみを提案するようであれば、良い提案に繋がらないケースがほとんどです。それぞれの医療機関の状況に応じた商品の組み合わせをチョイスできる会社かどうかが、安心してお付き合いできる会社の見極めポイントです。

また、経理スタッフの状況にもよりますが、部分的な経理業務のアウトソーシングから始める事でソフトランディングにスタートできる場合もあります。経理スタッフの負担軽減を目的に業務の見直しと部分的なアウトソーシングを行い、必要に応じて段階的に業務範囲を広げる事で経営者サイドも安心して進めていく事例もあります。

経理業務は大切なお金や資金繰りに関する仕事の為、外部委託をギリギリまで躊躇されるケースが多くあります。顔が見える社外経理部としてコミュニケーションを活発に行う事で、事務長の漠然とした不安を大幅に削減することが可能です。弊社も昨今は、Webミーティングを定例で行うお客様も増えています。経理業務のアウトソーシングは足跡を明確に残しながら行う仕事の為、むしろ安心して依頼が可能な内容であると理解が深まっています。提案時に病院経理の経験やノウハウ、コミュニケーションの取り方について、しっかりと確認されることがポイントです。

経理業務を外注化するメリットの一つに、経理業務をシンプルに見直すきっかけになる事です。院内で業務を引継ぐ場合は、前任者から業務の流れを見直すことは難しいケースが多いですが、外注化する際は前任者に気を遣う必要が無いため、シンプルな経理フローに抜本的な見直しを行うことが出来ます。また、医事や人事部に目的と提出期限を明確にした必要資料の依頼を行う為、使っているかどうか分からない資料を作成する事がなくなるケースもしばしばです。

また、業務フローの見直しをする事と合わせて、新しい仕組みを取り入れる事で業務効率を大幅に向上させることが出来ます。病院の経理部は新しい仕組みを積極的に取り入れられるケースが少ないため、10年前や20年前の仕組みのまま経理業務を行っている事が多いように思います。未だに手書きで帳簿や入出金伝票を書いている病院もあります。昨今は一般的となっている、銀行とAPI連携が可能な会計ソフトや債務支払いソフト、経費精算ソフトやRPAを用いて繰り返し業務の効率化等、すぐにでも業務改善につながる仕組みがたくさんあります。病院の利益率が低下しているなか、新しい仕組みを導入する事で高い質とコストパフォーマンスを得る事ができる機会につながります。

もう一度整理しますと経理業務をアウトソーシングするという事は、経理フローと経理の仕組みを再構築する事とイコールフィッティングです。仕組みの見直しにより、質が向上しトータルコストが下がる事が一般的な取り組み事例です。

経理業務をアウトソーシング

経理業務を外注化するデメリットと懸念点

経理業務をアウトソーシングするデメリットは、法人内の情報をアウトソーシング会社に発信をしないと情報が伝わらない事です。管理部門の部屋にいれば、聞こえてくる会話で把握できる事も多々ありますが、アウトソーシングすると情報発信にひと手間がかかるケースがあります。また、院内で行う現金実務は外注化できない点です。その為、できるだけ現金を扱わない仕組みに変更をしていただくケースが多くあります。
また、経理フローや仕組みの見直しを行わない前提の場合は、トータルコストは確実に上昇する為、メリットを享受することは難しいと思われます。

経理業務をアウトソーシングする際の懸念点としてよく取り上げられる内容は、資金管理と情報漏洩についてです。特に資金管理については、取引先への振込や給与振込、納税等を行う際に銀行への振込登録をアウトソーシング業務に含めている場合です。ただ、振込承認は事務長や局長等の病院の責任者に行っていただく為、アウトソーシング会社が勝手に支払業務を行う事はできない仕組みとしている事が一般的な為です。
情報漏洩についても守秘義務を負っている為、むしろ院内のスタッフが経理を行う以上に情報漏洩のリスクは低減すると考えられます。

気になる内容がございましたら、弊社のお問い合わせから具体的な相談をお待ちしています。

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