病院の経理・アウトソーシングに関するコラム

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現金管理が出来ている病院が経理の質が高い

現金管理が出来ている病院が経理の質が高い

病院経理 2025.08.19

現金管理は経理の基本の基本です。しかし、意外なほどこの基本が徹底して行えていない病院があります。現金管理が弱い病院は月次試算表の質も低く、決算も時間がかかる傾向が高いです。今回はこの基本の基本について、改めて確認させていただきます。

現金管理について

毎日、終業時に金庫の現金残高を確認し金種表に記載し、帳簿残高の確認と一致しているか確認し、上長に報告することが基本です。

しかしこの基本がいつしか、あっているはず、あっていて当然。だから現金残高の確認をしないというケースが見受けられます。現金管理のゆるみは全ての経理業務のゆるみにつながっている事がほとんどです。凡事徹底できない組織は管理の利益が損なわれています。
現金管理が徹底している病院では不正が発生する確率は低いです。一方で、現金管理が弱い病院は不正が大なり小なり発生しているケースがあるように感じます。ガソリンや洗車代が個人の車の領収書が混じっているケースや、介護事業の利用者負担の横領等、法人全体に緊張感の弱さにつながっているケースが見受けられます。

現金管理が不徹底な病院は、経理だけでなく病院内全体にフワッとした空気が伝播します。その伝播した空気は新しく入るスタッフがいち早くキャッチされるケースが多く、結果的に水面下で不正が広がるケースが見受けられます。
毎日金種表を作成されている場合でも、現金を確認すると一致していないケースもあります。理由を確認すると今までもあっていなかったのでそれで良いと思っていたというケースもあります。現金管理は上長が必ず行い、一致している事が唯一の正しさであることを確認しあう事が大切です。

現金を経理部だけでなく、医事や病棟、デイや訪問系事業所で扱う事もしばしばあります。仮払金の残高がいつしか一致していないケースがあります。それぞれの部署で上長が必ず現金残高を確認する仕組みと、現金残高の確認は上長の仕事と明確にすることが内部けん制としても必要です。

決算で現金残高が帳簿と不一致で表面化するケースもしばしば見受けられます。しかし、決算時に一年間の現金残高の正しさを確認していては、その他の業務が前に進まない為、結果的に現金残高の不一致は放置される事もあります。この状態が続くと、いつしか現金残高は合わなくても違和感がなく、合わないことはしょうがない事と現場の判断になり、上長に報告が上がらずその他の懸念事項も上長に報告があがらなくなり、ガバナンスが崩れていきます。

現金の不正はその本人が悪い事は当然ですが、仕組みとして運用が出来ていない法人に大きな課題であるといえます。

硬貨を並べて現金管理の記録を取っている様子

現金管理の手間を少なくする工夫

現金管理の手間を少なくする工夫を行う事と、現金管理を行わないことは全く意味が異なります。立替精算等が多いと経理業務はその都度ストップし、渡し間違えがないように丁寧に確認する必要があります。その立替精算を減らすために、経費精算の仕組みの導入やクレジットカードを活用するケースが増えてきています。

現金の取扱いボリュームが減少する事で、スタッフの負担が軽減するばかりでなく、現金管理の質が上がり、結果として法人全体の業務の質が向上します。
経費精算のアプリを導入すると費用が発生することがほとんどですが、経費精算の申請を行うスタッフと経費精算を行うスタッフの両方の業務効率が向上することで、結果的に経費精算アプリを導入して発生するコストを吸収出来る事が一般的です。

まとめ

自法人の現金管理の状態を今一度、確認する機会とし、長らく変えてこなかった現金管理のあり方をこのタイミングで再考されてみてはいかがでしょうか。
また、経費精算アプリはAIOCRの読み取り精度や学習機能、クレジットカードとの連携、料金設定等は各社まちまちですので、それぞれの医療機関の実態に応じてアドバイスが可能ですのでご遠慮なくご相談をいただければと思います。

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