病院の税務調査 その①
コロナ禍では病院の税務調査を税務署が控えていましたが、感染症法上の分類が5類に引き下げられたこともあり、病院への税務調査が増えています。
病院の税務調査でのポイントを記載致します。
病院の税務調査のポイント
以下の内容は、病院の税務調査で一般的に確認が行われます。
・源泉所得税の確認
- 個人事業者に対する源泉徴収漏れの確認
- 経済的利益に関わる内容確認
- 医師への渡しっきり交通費の確認
・補助金の該当事業年度における計上漏れの確認
・請求保留、再請求の計上漏れの確認
・資産計上のタイミングの確認
・修繕費の内容の確認
・消費税の課税・非課税・不課税の確認
病院の源泉所得税の具体的な調査事例
今回は、病院の源泉所得税に関する税務調査の事例を記載致します。
病院では、給与等に係る経済的利益について必ず確認が行われます。
具体的には、
①給食費の負担が適切に行われているか
②病院等の勤務場所で駐車場の徴収を行っている場合、特定の職種等を非対象としていないか
③社宅を提供している場合、社宅負担が適切に行われているか、特定の者を非対象としていないか
④特に非常勤医師に対する非課税交通費が適切かどうか
上記内容を詳細に説明します。
①病院では入院患食と合わせて職員食を調理し、職員から給食負担額を徴収しているケースがあります。その際は、取引業者に患者食と職員食の食材の請求書を分けて請求書発行をしていただく事が必要です。その上で、食材費の1か月あたりの金額を把握した上で、食数で控除して1食あたりの食事単価が適切な金額の範囲かどうかの確認が必要です。昨今、食材費が高騰している為、食材単価の推移については留意が必要です。
②駐車料金を職員から徴収している場合、全ての職員から公平なルールに基づき徴収が必要です。役員や医師から徴収していないケースが見受けられますが、その場合は利益供与となる為、留意が必要です。
③病院で多いのは、医師や看護師に社宅を提供しています。昨今では、技能実習生や特定技能外国人を向かい入れている病院も多い為、社宅を提供しているケースも増えています。また、派遣ナース、トラベルナース、トラベル薬剤師にも社宅を提供しているケースもあり、いずれも原則として家賃の1/2以上を職員が負担する必要がある事に留意が必要です。
④以前に比べると随分と少なくなりましたが、大学から医局派遣の非常勤医師に対して、例えば10,000円/回等の渡しっきり交通費を支払っている場合、この渡しっきり交通費を含めた金額に源泉徴収を行う必要がある為、留意が必要です。
上記内容で少しでも不安に思う事や改善課題があれば、弊社に問い合わせをいただければ、実態に応じた具体的なアドバイスを行います。