病院の税務調査 その⑤ 契約書と印紙について
基礎知識 2024.08.24
直近の病院の税務調査の事例で「契約書と印紙」に関する内容を記載致します。
奨学金の金銭消費貸借契約書
多くの病院では奨学金を貸与し、看護師資格の取得支援を行われています。最近では、看護師の専門性を高める認定看護師や特定看護師等の支援等、病院に必要な資格支援を行われる場合もあります。
その際に、資格取得に必要な資金を医療法人が貸与し、資格取得後に一定期間の勤務を行えば貸与金額の返済を免除できるように整備している病院もあります。 ただ最近は、せっかく支援をしても免除期限まで務めるスタッフが少なくなったと嘆かれる事務長や看護部長の声を耳にする事も多くなっています。
話しを戻します。
税務調査時には必ずと言っていいほど、奨学金の貸与時の金銭消費貸借契約書を確認され、印紙の添付と奨学金規程の債務免除の期間と経費化が一致しているか確認が行われます。
調査官からは、金銭消費貸借契約書の貸付金額に対応しない印紙税額や、貸付金にすべきところを初年度から経費化している事案や免除期間と奨学金規程の減免期間と不整合に経費化している事が見受けられるとの事でした。
金銭消費貸借契約書で総額いくらの金額を貸付するのかを確認して、その金額に対応する印紙貼付が必要な事に留意が必要です。
清掃委託費や保守に関する契約書
病院では清掃委託や様々な保守に関する契約書を締結しています。病院の税務調査時には特にこれらの契約内容についても、確認が行われる事が多い為、日ごろの契約事務の段階から印紙添付と印紙税額には留意が必要です。
清掃委託は年間契約の場合は契約金額が大きくなる事が多い為、特に留意が必要な契約内容です。 保守契約は印紙税額の一覧表の「文書の種類」では「請負契約」に該当する事が多い為、契約内容に応じて印紙税額の判断が必要です。